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夢見ていたスウェーデンでの生活がついに始まりました
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週末にFärgfabrikenへ行ってきました。
ここは元工場跡を改築して展示場として
今は使っている場所。ちょっと変わった、
マイナーな建築系の展示なんかもあるので、
たまにチェックしています。

今、ここでは継続的にKTHと一緒に
ストックホルムの都市計画にからんだ展示、
セミナーをやっているようです。
今回の展示はストックホルムの
インフラストラクチャーがテーマ。
インフラの整備なくして都市の開発はない、
ということだと理解したのだけど。

ストックホルムでは確かに最近、
線状の開発も進んでいます。
郊外とされる地域を線(電車、地下鉄、もしくは車)
で繋ぐ。それにはその繋ぐ手段の開発も必要
ということなのでしょう。ただ全体のコンセプトは
やっぱり、環境配慮、サステナブルであり、
車よりは公共交通機関の利用、さらには
自転車道、歩道の整備も進めていくのが
好ましいというもの。

面白かったのは、サステナブルと言って、
公共交通機関を推進しつつそれと同時に
幹線道路の開発にも力をいれているのはなぜか、
という疑問や路線の拡大を表現している脇では、
移動を少なくしコンパクトな生活をし、
地域内で暮らした方が環境にはやさしいという
展示があったり、両方の視点があったことです。
この開発が正しい、と言い切っている
のではない感じがよかった。
簡単には答えの出ないディスカッションだと思います。

他にも今まで行われたワークショップの展示
があったりと、なかなか面白い
展示だったと思います。


このような都市計画の流れとともに
1990年代に入るとよく環境配慮、エコ
という言葉が使われるようになり
その影響も受けるようになりました。

 
(Hammarby Sjöstad
トラム、バスがメインの道路 よく計画された中庭)


その代表的なのがHammarby Sjöstad
と言われるエリアです。今でも海外から
視察の人が多く訪れる場所。

何が特別かというと、上下水道や温熱設備、リサイクル
やバイオガス等を取り入れ環境に配慮しているから。
またそういった環境への取り組みとともに
住居者に質の高い生活を提供することが求められ
始めた当時、それをいち早く実現した場所でもあります。
そしてその考え方は今、世界中で重要視され
取り入れられようとしています。

今ストックホルムはNorra Djurgårdsstadと呼ばれる
元工場、ガス製造所だった広いエリアに
第二のHammarby Sjöstadを計画中です。
またこの他にもStockholm 2030とし
2030年までに新たな都市計画を進める事を
目標に開発が進んでいます。
公共交通機関を発達させ、各郊外のポイントを結び
車がなくても生活できる街を目指すことを初め
土地の再利用に重点を置き、現存する緑地への
開発を最小限にすること、環境配慮を常に
意識していること等、これから先、必要になる
だろうポイントをしっかり押さえています。

これが実現されたら、すごいな。

と、ざっとストックホルムの都市計画を
書きましたが、やはり、何がすごいかって
都市計画の勉強をした専門家が
実際の都市計画に携わり、その時代の
ニーズに合わせて、他国の事例を
参考にしつつも、スウェーデン型に
発展させ、独自の計画を進めて来た事
だと思います。もちろん、その後に批判が
多くされたものもあるけれど、
他の国に比べるとストックホルムの街並みは
整頓され秩序があると感じます。

また、今後、今行われている開発が
どう評価されるかはわからないことだけど
政策として間違った方向に行っていない
というのはやはりスゴイと思う。
日本がこういう方向に進むためには
どうしたらいいのかなぁ・・・。

長々と真面目な話が続きましたが
最後までお付き合いありがとうございました!


1980年代にはミリオンプログラムの反省を生かし
新しいタイプの都市計画が考えられ始めました。

 
(Skarpnäck 
ファサードを意識した建築/街路樹があり人があるくスケールの道)



建築の素材やデザインにも変化が見られ、
画一的ではなくバリエーションを持たせ、
空間も非対称的な規則的ではない構成。
また図書館やカフェ、公共施設、緑空間、
公園等も積極的に併設されるように。
早さ、安さ重視から質へと感心が移って
行ったと言われています。


そして1990年代に入ると、新たな土地を
開発するのではなく、元工業地域や車両基地跡、
港の跡地の土地再利用計画、特にこういった場所の
多くが水運の便を考え水辺に多かったことから、
今は水辺の近くに住むということが人気になっています。

 
(Nacka saltsjö
元工場だった建物の再利用/スケールの小さな建物)


そういった地域は比較的都市中心部から近い
というメリットもあり、今は公共交通機関の整備や
自転車道の確保も同時に行われ、車がなくとも
生活できるような環境を整えることが重要視。
また、地域内の特徴としては、地域内では
車の立ち入りを制限し、人が歩きまわれるのに
よいスケールで作られていることが多いです。


(Årstadal
最近よく見られる水に面したアパート/親水エリアと奥のオフィス群)


建物もミリオンプログラムの時の反省から、
一つ一つことなるデザインが見られ、
ファサードやバルコニー、屋根の形状をみても
それぞれに特徴のあるものが増えています。

 
(Henriksdalshamnen
水辺に面したアパート/中庭)


ただ、建物自体にはいろいろな形や色が
使われ多様にはなっていますが
だいたいの雰囲気は似たものが多く
最近の住宅地もそれはそれで地域の特色
というものはないような気がするのですが…
そしてやはりこういう地域は高いので
なかなか簡単に買うわけにも行きません。
また、建築ラッシュと言われているにも
関わらず未だにストックホルムの
住宅不足問題は解決されていない
というのが現状のようです。
この時期、同時に進められたのがミリオンプログラム
と言われるさらにスケールの大きい郊外の開発。
1964年頃に計画が打ち出され、70年代前半には完成。
未だに移民問題と絡んで問題となっている地域が多く、
反省点が多い都市計画であったと言われています。


(Tensta in Stockholm)


当時の社会背景は、移民の流入とともに人口が増え、
それまで以上の住宅不足に陥りました。
そのためにスウェーデン全体で百万戸の住宅を
数年の間に作る事を目標にかかげ、できるだけ
早く、安く、アパートを量産する必要があった。
それを可能にするためには、やはり建築の画一化が
さらに進められ、建物の素材、設計から、中庭等の
外部空間、駐車場から玄関までの道路付けまでもが
規格化され、それを異なる地域にそのまま造る
というような方法が取られていきました。

 
(Rosengård in Malmö)

そのために地域の特徴、地域性と行った事は
完全に無視され、規格にのっとって出来上がった
住宅団地が設置されるという結果に。

またこれらの地域は都心部から離れている事が多く、
車の利用を考えて道路が設計されたため、
道幅が車スケールになり、主要道路が団地内を
突っ切るように走り、その上を歩行者用の橋が
かけられ、それによって空間さえも分断されました。
そのような中では家から最寄り駅、バス停もしくは
お店のある場所までの距離が長く、
歩行者には動きにくいような空間になっています。

ただ、同じ時期に建てられた郊外でも
その後強く批判された場所と
そうではない場所があります。
批判の対象になっているのは、やはり
後々、移民が多く住み、治安が悪く
なってしまっている場所。


(Tensta 新しい広場の設計/イベントが行われたりする)


 
(Skärholmenのリノベーション計画
写真左*手前がリノベーション前、奥がその後
写真右*それと同時に中庭の新しい設計も有名なアーキテクトをよんで行われた)



けれど、そう言った地域も放置するのではなく
建築家を招いたり、アートイベントを行ったり
改善策を試行錯誤している様子が見られるのは
さすがだなーと思います。
まぁ、簡単に解決する問題ではないのですが
今後改善されるのか、気になるところです。
この頃になると地下鉄の整備とともに
開発もどんどんと郊外の方へ広がって行きました。
この時に影響を受けたのが、イギリスで流行った
ネイバーフッド、またはコミュニティセンターと言う考え方。
これは、住宅団地の中に住民の集える公共空間、
つまりは図書館のような施設や広場、学校や
診療所等サービス、さらに日常に必要とされる
商業施設を一つの郊外住宅団地内に置くということ。
今までアパートの一階に配置されていた店を
広場の周りに集中させ、人の集まる空間を
作りだすという事も考えられていました。

 
(Årsta centrum designed by Tore and Erik Ahlsén)


初めて実際に設計されたのが1944年に建てられた
オーシュタセントラル。しかしセントラルが建てられたのが
実際の人々の生活圏内からずれていた事や、
すぐ近くに交通の要所とされるGlummarsplanがあった
ことなども理由になり、この考え方はあまり現実には
発展して行かなかったようです。今も広場は残っていますが。


それが更に発展したのがABC-samhällerという考え方。
A=arbete(work) B=bostader(live) C=centrum(Cneter)、
つまり、仕事場と住居そして公共施設を一つの
郊外団地内に作るというもの。そして郊外の
ベッドタウン的構造を変え、通勤による移動距離を短くし、
効率的な都市計画を作りだすのが理想でした。

 
(Vällingby centrum 商業施設が集まる地下鉄駅周辺
奥に見えるのが住宅群)


ストックホルム郊外ではこの時代はVällingbyが
唯一の事例と言われています。
しかし、仕事をこの地域で得ても、同時に住居を
確保するというのは当時難しく、結局は他の地域に
住む人がここにきて仕事をし、地域内に住む人は
市内へと通勤する事の方が多くなってしまいました。
その後、ストックホルム郊外として開発されたのは
Farstaと呼ばれる場所でしたが、この時にはすでに
仕事場を抜いたBC samhällerの考えに基づいて
計画され、企業をうまく誘致することはできなかった
と言われています。


(Vällingby centrum K-fem
2008年にオープンした新しいショッピングモール)



今でもこういったエリアには、多くの人が住み
またショッピングセンターが残っており
それを生かした独自の発展が考えられています。
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プロフィール
HN:
あっこ
年齢:
40
性別:
女性
誕生日:
1984/01/11
職業:
ランドスケープアーキテクト
自己紹介:
ストックホルム工科大学(KTH)での2年間の留学を経て、ランドスケープアーキテクトとしてストックホルムにて働いています。
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